研究者・学生の方へ

アトピー性皮膚炎の疫学研究

本邦のアトピー性皮膚炎の疫学研究

 

 日本におけるアトピー性皮膚炎の有病率や診療の実態を把握するために、私たちは全国的なWeb調査と広島大学の新入生を対象とした調査を継続的に行っています。

 

Webを用いたアトピー性皮膚炎に関する疫学研究

 広島大学皮膚科は厚生労働科学研究または厚生労働行政推進調査事業の一環として、Webを用いたアトピー性皮膚炎の疫学調査研究に取り組んできました。2014年度はアトピー性皮膚炎の治療実態とステロイド忌避の実態について全国的なWeb調査を行いました。また、現在はアレルギー疾患全般に関する疫学調査を厚生労働省の研究班の一員として行っています。この研究を通じて、我が国のアレルギー疾患有病率の現状を把握することができ、アレルギー疾患全体について全年齢を通じてシームレスに解析することが可能となります。私たちは特にアトピー性皮膚炎の分野からの解析を行い、その実態の解明とアレルギー疾患全般からみたアトピー性皮膚炎の疫学的特徴を把握し、よりよい治療方針開発につなげていくことを目指しています。

 

対面による継続的な疫学調査

 私たちは広島大学の新入生を対象にアトピー性皮膚炎の有病率と重症度の調査を2002年から毎年行っています。日本において、これほど長期にわたるアトピー性皮膚炎に関する継続的な有病率調査はありません。また、質問票を用いて、アトピー性皮膚炎の管理方法、喘息・アレルギー性鼻炎/結膜炎の合併頻度なども調査しています。対象が広島大学の新入生と限定的ですが、皮膚科医が実際に診てアトピー性皮膚炎の診断をしているため信頼性の高い調査です。Web調査の結果と合わせて検討することで、本邦におけるアトピー性皮膚炎の実態を明らかにし、疾患の重症化を防ぐための方策につなげていきたいと考えています。