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アトピー性皮膚炎の病態と痒みの発症機構の解明

 

アトピー性皮膚炎の病態解明

 アトピー性皮膚炎を形成する病態として、皮膚の過敏(表皮のバリア機能異常)、表皮と真皮における炎症、痒みの3つが重要です。これらの病態にはインターロイキン(IL)-4,IL-13などの2型炎症にかかわるサイトカインが関与していることがわかっています。実際、IL-4IL-13の両方をブロックする抗体製剤は、表皮のバリア機能の改善、皮膚の炎症の制御、痒みの軽快のいずれにも優れた効果を発揮します。しかし、IL-4,IL-13そして、最近話題のIL-31,IL-33などのサイトカインが表皮角化細胞、真皮の線維芽細胞、知覚神経にどのような影響を及ぼしてADの病態が形成されるかについては十分に分かっていません。私たちはこれらのサイトカインが、それぞれの細胞に及ぼす影響について検討し、アトピー性皮膚炎の病態の解明を目指しています。

 

痒みの発症機構の解明

 痒みは皮膚疾患に広く共通する不快な症状です。痒みは、マスト細胞からのヒスタミンに加え、表皮角化細胞が産生するセロトニン、インターロイキン、Thymic Stromal Lymphopoietin(TSLP)などが皮膚のC線維神経終末を刺激し、後根神経節(DRG:dorsal root ganglion)を介して脊髄後角から中枢神経系にシグナルが伝わり、脳で痒みとして認識されます。このように、痒みを誘発する表皮内あるいは真皮内の因子が既にいくつか報告され、その伝達経路も明らかにされつつあるものの、生物が痒みを感じる具体的な機序についてはまだまだ不明な点が多く、臨床の現場では痒みで困っている人がたくさんいます。

 IL-31は痒みを生じるサイトカインとして近年注目され、その働きを阻害する抗体医薬の開発も進んでいますが、IL-31による痒み発生の機序についてはまだまだ不明な点が多いです。私たちはDRG細胞と表皮ケラチノサイトの相互作用に注目して、IL-31によって引き起こされる痒みの謎を解明しようとしています。